Generation P (2011)

ヴィクトル・ペレーヴィンの最も有名なポスト・モダニズム小説のひとつ『ジェネレーションP』をヴィクトル・ギンズブルグ監督が映画化した本作は、ロシアで興行的な大成功をおさめ、カルト的な人気を得るとともに、トロント映画祭、カルロヴィ・ヴァリ映画祭、リンカーン・センターの若手監督・新作映画祭などで賞を獲得し、高い評価を得た。この映画は、革命の幻想が消えうせ、荒々しい資本主義の波が押し寄せた1990年代のモスクワを舞台にしている。古いソ連体制の下で教育を受けた若きインテリ、バビレン・タタルスキーは、自分がまったく新しい国に生きていることに気づき、やがて欧米の「アイコン」的なブランドを「ロシア的メンタリティ」に適合させる広告会社で働くようになる。2012年に米国で公開された本作を、「ウォール・ストリート・ジャーナル」誌は「今年もっとも予想外の、真に映画的な作品」と呼んだ。「ニューヨーク・タイムズ」誌は「広告の潜在力と精神の誘惑に対する、勇敢でめくるめく注釈」と評し、「ハフィントン・ポスト」紙は「2012年映画ベスト10」に選んだ。仁義なきグローバリズムの爆心地を舞台とし、真に魔術的なエネルギーに突き動かされて、『ジェネレーションP』は、政府とビジネス、合法と違法、現実とデジタル化されたその分身とを分かつ境界線の消滅をめぐる喜劇、叙事詩、ファンタジーだ。私たちは、ヴァーチャルな大統領を創造し、新しいロシアの権力の頂点にのぼりつめていくタタルスキーを目にすることになる。洗練されているが怪物的に奇妙な本作『ジェネレーションP』は、強烈な特殊効果と魂を惑わす啓示によって、かつての「若きパイオニア」が女神イシュタルに奉仕する広告マンとなるまで、「ペプシ世代」がコカ・コーラを選択するまでを描いている。