丹下左膳 飛燕居合斬り (1966)

太平の御世。だが裏では将軍側近の愚楽老人が権謀算術の限りを尽し、侍はお家大事、町人は貧苦で喘ぐ嫌な世の中でもあった。相馬藩の丹下左馬之介が長老・出雲の命によって相愛の萩乃を捨て親友・神島小十郎を斬ったのも、家老一派が左馬之介に襲いかかったのも、時節のなせる業であった。そして、左馬之介の名はこの日相馬藩から消えたのだった。ある日、日光東照宮改修の命が柳生藩に下った。小藩に工事奉行の命。藩主・対馬守が藩の生字引・一風斉に相談すると、柳生家重代の家宝「こけ猿の壺」に百万両の黄金が隠されていることがわかった。壺は柳生源三郎に守られて江戸に向ったが、柳生藩を潰しにかかる愚楽老人は、隠密・蒲生泰軒に命じ源三郎を襲わせた。と、その前に瓢然と現れたのは、黒衿がけた白紋付、刀痕も凄まじい隻眼隻手の浪人一人。人か魔か、飛燕の早業で追っ手を斬ったこの男こそ丹下左膳であった。（Ｃ）東映