Against the Current (2009)

ハドソン川全域、トロイからニューヨークまでの150マイル(約240キロ)を泳ぐ男、ポール･トンプソン(ジョセフ・ファインズ)の物語。ポールに同行するのは幼い頃からの親友ジェフ(ジャスティン・カーク)と、夏休みを持てあました学校教師のリズ(エリザベス・リーサー)。３人はハドソン川下りという、一風変わった３週間の冒険に出発する。ポールは８月２８日までにニューヨークに到着するべく、タイトなスケジュールを強行する。雨が降っても彼は泳ぎ続け、残る２はボートで同行。夜は川岸にキャンプをする。しかしこの旅は、ジェフとリズが思っていた以上の意味を持っていた。ポールは喪失の悲しみを抱えており、川を泳ぎ切ったら自殺しようと考えていたのだ。ポールを救う唯一の手段は川下りの続行であることを悟ったジェフとリズは、この旅を続けることにする。ブラックなユーモアを交わし、ドーナツの話題からセックス、死について語り合う３人。ジョークやシャレを交えたディープな話を交わすうち、この川下りの旅は友を救うにとどまらず、彼ら自身が心の底で真に求めているものの発見という戦いの様相を見せ始める。悲しみと笑いの両方の要素を持つ「Agaist the Current」は、悲しみと喪失、自分の死期を決めることや友情の責任と限界についての、妥協を知らぬ、心を引きつけられる物語である。